イサドラ・ダンカン（Isadora Duncan）、１９２７年９月１４日、滞在中のニースにて、

彼女のトレードマークだった、長く赤いスカーフが、車に巻き込まれ、窒息死、享年５０歳。

"The Mother of Modern Dance "、"The Barefoot Dancer"と呼ばれた、舞踏家。

イサドラ･ダンカンの名前を知ったのは何時だったのか？

有吉京子の『ＳＷＡＮ』だったか、美内すずえの『ガラスの仮面』だったか、

それとも、ＮＹでモダンダンスに打ち込んでいる従姉妹からだったか、

ほぼ、同時多発的に聞き及んだような気だする。

幼少より、ポルカ、ショティッシュ、ワルツ、等の舞踏に長じ、

音楽や文学、美術等の、あらゆる芸術に興味を持ち、それ等を自らの中に取り込んでいった。

特に母のピアノや古典文学の趣味にも大きな影響を受けている。

また、フランソワ・デサルトの影響を受け、それを体現した。

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デサルトの「美−自然な動き−身体構造と重力の調和」は、

１９世紀末の欧米での「ギリシア・リバイバル」と云う芸術界での大きな動きの源流。

芸術界に於ける第二のルネサンスの中で生まれ、育ち、表現し、死んでいった女性、

それが、イサドラ・ダンカンだった。

ギリシア的即興的な舞踏、裸足で、ギリシア風のチュニックに身を包み、

クラシカルなバレエではなく、もっと自由な踊りを披露し、一世を風靡する。

しかし、彼女の踊りは、清教徒的アメリカでは受け入れられず、ヨーロッパへと赴く。

渡仏当初はアヴァンギャルドな舞踏家ロイ・フラー（Loie Fuller）と、一緒に仕事をした。

ダンカンはダンスに、ベートーヴェンの『交響曲第七番』や、ブラームスの『交響曲第一番』、

ショパンの『葬送行進曲』、ヨハン・シュトラウスの『美しき青きドナウ』等、多くのクラシックを使用した。

自らが踊るばかりでなく、２６歳の若さでダンス学校を創立し、

「自然こそ舞踏の源泉である」との方針の下、多くの後進を指導する。

セルビア人は何を消費し

特に、クラシック・バレエの重力が存在しないが如きを否定し、

同時に、

　「女性の美と健康、元々備わっている体力と自然な動きを取り戻し、

　　母性と健康な子供を取り戻す」、

　「生徒達に自分の真似はさせず、一人ひとりに自分自身の動きをさせる」、

　「新時代の女性の自由な精神と自由な身体と最高の知性」、

を目指す事を宣言する。

パリ、ベルリン、そして、モスクワに彼女のダンス・スクールが開かれ、

多くのダンサーに彼女の想いは受け継がれていった。

バレエの振付師ミハイル・フォーキン等も多大な影響を受け、アブストラクト・バレエへと発展し、

モダンダンスの大きな潮流を作り上げた。

一方で、彼女の私生活は、スキャンダラスで、

奇妙に道徳的なアメリカに受け入れられるには時間がかかった。

これは、イサドラに限らず、多くのアメリカ出身の芸術分野の人間がぶつかる問題であり、

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アメリカの抱える劣等感の源でもある。

一方で、アメリカ合衆国の起源に関る問題でもあり、

未だに、合衆国は病的な潔癖症を克服できずにいる。

参考文献：海野弘『世紀末のスタイル』（美術公論社：１９９３）

　　　　　　　　『モダンダンスの歴史』（新書館：１９９９）

　　　　　松原惇子『私を探す旅』（文藝春秋：１９９５）

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